ビジネスマン専門の国際航空路線が急速に普及する見通しになった。全席ビジネスクラスの格安便を就航させた欧米の新規航空会社のニッチ(隙(すき)間)戦略が大当たりし、大手各社が相次いで追随する方針を表明。ビジネスクラス専用便はアジアにも広がりを見せ、日本のビジネスマンにも格安運賃の恩恵が及ぶ可能性が出てきた。
・≪米大手も検討≫
全席ビジネスクラスの専用機は、2005年に米マックスジェットとイオス航空がそれぞれニューヨーク−ロンドン間に就航。これまでに仏ラビオン、英シルバージェットが追随した。4社はいずれも数年前に発足したビジネスクラス専門航空会社。中型機内に数を絞って配置されたゆとりのある座席や質の高い機内食、空港内の専用ラウンジ利用など大手に引けを取らないサービスを提供する一方、運賃は、便によっては大手の4分の1以下と格段に安い。
たとえば大手では最高1万ドル(約120万円)もする大西洋路線の往復運賃について、4社はサービス内容の違いに応じ、1600〜5400ドル台を設定している。安さの秘密は、格安航空などとの競争が激しいエコノミークラスをあえてはずし、エコノミーの赤字のしわ寄せを受けにくくしたビジネスモデルにある。
4社の6月の搭乗率は7割を上回るなど好調に推移。ラビオンは、既存路線に今冬、2機目を投入すると発表し、イオスも9月から増便するなど相次いで拡大戦略を打ち出した。
4社の動きをうかがっていた大手各社も新市場開拓に向け動き出した。米紙ニューヨーク・タイムズによると、英ヴァージン・アトランティック航空は7億ドル(約840億円)を投じ、全席ビジネスクラスの機材を調達、1年半以内に複数の国際線に就航させる計画だ。
ブランソン会長は「過去5年でビジネス客のムードは一変し、ビジネス専用機を望むようになった。ビジネス専用機は一種のステータスとなった」と話す。
ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)は既存の中型機34機を全席ビジネス機に振り向け、大西洋路線などを開設する見通しだ。既存客からの減収に結びつかないよう、運賃を慎重に検討するとみられる。3路線の全席ビジネス機を運航している独ルフトハンザ航空が10月にニューヨーク−フランクフルト便を追加するほか、米大手も参入を検討しているとみられている。
・≪アジアにも拡大≫
同様の動きはアジアにも広がっている。全日本空輸は今春の名古屋−広州便開設に続き、9月に成田−ムンバイ(インド)便を開設する。ただ、運賃は既存のビジネスクラスと同水準だ。名古屋−広州便の搭乗率は5割以下にとどまっている。
同社は「今回は高付加価値、高単価の市場をターゲットにした試行的取り組み。ビジネスクラスの需要は旺盛であり、様子を見て今後の展開を考えたい」と話す。日本航空は現時点で全席ビジネス機は計画していないが、「非常に重要な市場であり競争は益々激化する」として、今秋にエコノミー、ビジネスの中間クラスを新設するなどの対応を進める。
一方、マックスジェットは今月16日、米運輸省に09年春からのシアトル−上海便の開設を申請した。運賃などは明らかではないが、実現すれば、太平洋路線でも、ビジネスクラスの運賃競争に火がつく可能性がある。(佐藤健二)
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